すごい音。そして痛み。

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」


3月の下旬。スギ花粉が猛威を振るう季節。
妊娠6ヶ月くらいの私は花粉症と闘いながら子育てをして過ごしていた。

子どもに夕飯を食べさせ、ホッと一息ついたその時、くしゃみの波が押し寄せた。
大きなくしゃみが続いたその時、「パンッ」といった乾いた音。
そして、背中に激痛。
崩れ落ちていく私。

激痛の中、家族に音の確認をしてみるが、誰にも全く聞こえていないらしい。
「え?あんなにすごい音したよ?本当に聞こえてないの?」

激痛で身動きが取れない私は、
痛みを堪えながらそのまま病院に行くことにした。

病院では、肋骨にひびが入ったのでは?と言われた。
ただ妊娠中のためレントゲンは取れない。
コルセットもできない。
気休めに妊娠中でものめる痛み止めを少しいただいたが、
基本的には痛みがひくのが来るのを待つのみ。

それからの数日間、静かに痛みがひく時を待ち続けた。